我楽多箱から見える点景−−不定期瓦版 本文へジャンプ

2022年

3月15日に日本学士院賞を受賞しました。光栄なことです。これで、昔ながらの社会経済史研究のの社会的評価が上がるよいとおもいます。

2021年

久しぶりの更新です。この間に『日本経済史』有斐閣、『日本経済の発展と財閥本社』東京大学出版会、『岩崎小彌太』PHP新書、『渋沢栄一』ミネルヴァ書房、『三菱財閥形成史』(関口かをりさんと共著、東京大学出版会、などを刊行することができました。

『財閥の時代」が『財閥的時代』というタイトルで2021年5月に中国語版として翻訳刊行されました。翻訳者の王广寿さんに感謝です。



2017年秋

10月14-15日、大阪商業大学で開かれた政治経済学・経済史学会において、パネルディスカッション「東アジア産業政策と高度経済成長」で問題提起者として参加してきました。
 日本・韓国・台湾に継起的に訪れた高成長経済のエンジンとなる産業成長が、それぞれ同質的な産業構造の形成へと向きながら、実際には中核産業に異質性があることなどを考えながらの議論でしたが、まだまだ問題が整理されて提示されていないために、十分な共通理解に基づく議論が積み上がるには至らなかったようです。まだまだ未熟です。

10月19日に、東大在職中に大学院で行った講義録、『異端の試み』が書籍の形で出版されました。日本経済評論社に感謝。
 研究者を志す人たちを中心に日本経済史の研究史に関心のある人たちに、関心のある分野だけでも読んでいただければと思っています。
 先日の政治経済学・経済史学会で岡山大学にいらした松本俊郎さんに、上記の本に「殖民地」を主題とする章がないですね、残念そうにつぶやかれました。これには「申し訳ない」という以外にはありません。殖民地研究への関心が希薄なのは私の研究の弱点です。9月に出版した鈴木商店の研究書も台湾という殖民地が基盤の企業ですが、国内の問題が中心になっています。殖民地などへの進出・侵略の歴史を経済発展との関係でどのように説明するかは、未だ難問のままですが、少し手掛かりが見つかりそうな予感を持っています。

10月21日、資本市場関係の資料目録にある正金銀行関係資料について、第4期以降の解題と目録を作成してアップしました。正金資料目録

10月28日、韓国のSeoul Kpurnal of Japanese Studiesに、日本経済の現状に関する論文が掲載されました。私としては、数少ない英文論文です。

11月6日、先月末に開いた読書会で『鈴木商店の経営破綻』を取り上げました。その時参加してくださった友人から誤植と思われる箇所の指摘をいただき、資料の確認などをして、正誤表を作成しました。

12月18日、 2017年12月18日 福山大学張楓さんの招きで福山を訪れ、市民向けの研究会(備前経済研究会)において、「経済成長論の限界:日本の経験から考える」というタイトルでお話しをする機会を得ました。経済成長に限界があるという議論はなかなか理解されないようです。

12月21日、 経済産業研究所の研究プロジェクトとして進めてきた研究成果として、IMS国際共同研究プログラムの歴史的位置 が公表されました。鳴り物入りでスタートした国際共同研究がどのような経緯をたどり、参画者たちのそれぞれの思惑のなかで、迷走していく様子を描いたものです。国内的な視点に限られているという限界があり、国際共同研究として海外の関係者がこれをどのように見ていたのかまでは解明できていませんけれど、日本が貿易摩擦解消などを狙って推進しようとした計画に、自らが終止符を打った理由など、理念を見失った状況は明らかにできたように思います。

2018年

1月11日 広島生活協同組合連合会の「2018年新春のつどい」で、「共生社会をめざす−−歴史的な視点で見た日本経済の問題点から」というタイトルでお話しをする機会を得ました。歴史研究というよりは、未来に向かっての発言を求められる機会が増えていて、歴史研究の本道に戻りたいと思っている本人の思いはなかなか実現できそうにありません。でも、めげずに頑張ろうと思います。

1月27日 台北市にある陽明大学で、東アジアにおける高成長経済の比較研究についての研究会が開かれ、26-29日渡台して参加しました。

1月31日 京都大学経済学研究科で開催された公開セミナーで『異端の試み』を素材とする議論に参加しました。院生を中心に教員の方も参加され、かなりの人数でしたが、なかなか研究史をどのように読み解き受け止めるのか、という議論にまで展開することができず、質疑応答などでの対応をもっと工夫しないといけないと痛感した次第。まだ未熟です。